KNOWLEDGE
クエン酸のこと
何から できていて、
何ができて、
何に 気をつけるか。
白い粉。台所にも、洗面所にも置ける。
使う前に、知っておきたいことを、調べて並べた。
クエン酸って、何?
レモンや梅の、酸っぱさのもと。
ただ、店で売っている粉は、レモンをしぼったものではない。
でんぷんや糖を、コウジカビの仲間に食べさせて、発酵で作る。
世界で作られるクエン酸の ほとんどが、この作り方だ。1919年から続いている。※1
味噌や焼酎の糀と、同じ仲間の生きものの 仕事だ。
何ができる?
クエン酸は、酸性。
アルカリ性のものと合わせると、たがいに打ち消し合う。
だから、よく使われているのは、こういうところだ。
- やかんや蛇口の、白い水あか
- 石けんで洗ったあとの、髪や布のすすぎ
量の目安として、よく紹介されているもの。
- 掃除のスプレー ── 水200mlに、小さじ1
- 洗濯のすすぎ ── 水10リットルに、小さじ3分の1ほど
油の汚れと、かびには、向かない。※2
TANEの使い方
縮んだウールのセーターに
私は、水もクエン酸も、測っていない。
いつも、これまでの手の感覚で入れている。
目安にすると、ぬるま湯2リットルに、クエン酸を大さじ1ほど。
水が多ければ、増やす。
縮んだセーターを、30分から60分つける。
つけたまま、その状態で、セーターを伸ばす。
形が整うように、やさしく引っぱる。
やりすぎと感じるくらいでも、いい。
そのあと、ふつうの水で洗う。
クエン酸で どこまで戻るかを確かめた資料は、探したが見つからなかった。
これは、私がやってみて、続けているやり方だ。
極端に小さくなったものには、限界がある。
からだに、どうか
| 目 | 強い刺激がある。ヨーロッパの届け出 4,373件のうち、85%が「目に強い刺激」と分けている。※3 入ったら、水でよく洗う。 |
|---|---|
| 鼻・のど | 粉を吸いこむと、刺激することがある(23%がそう分けている)。※3 |
| 肌 | 分け方は、会社によって違う。「軽い刺激」から「刺激なし」まで。※3 |
| 口 | 国連の専門家の会議は、一生 毎日とってよい量に、上限の数字を決めていない(1973年)。※4 ヨーロッパの機関も、2020年の見直しで「いまの使い方と量では、安全の心配は無い」とした。※5 |
混ぜない
塩素系の洗剤(カビ取り剤、漂白剤)と、一緒に使わない。
塩素系のものと 酸性のものが混ざると、塩素のガスが出る。
国民生活センターには、「風呂掃除中に、塩素系の洗浄剤と クエン酸を含む製品を 同時に使ってしまった」という相談が寄せられている。※6
塩素系を使った日は、クエン酸を使わない。
使ったあとは、水でよく流す。それで足りる。
毛糸と、酸
ウールは、酸に強く、アルカリに弱い繊維だ、と言われている。
ウールの縮み(フェルト化)は、水と、石けんのようなアルカリと、もむ動きで進む。※7
クエン酸は、酸の側にある。
それでも、やっていること。
- つけたあとは、ふつうの水で洗う
- お湯にしない。ぬるま湯のまま
- 綿や麻がまざったものは、とくに よく洗う(綿や麻は、ウールと逆で、酸に弱いと言われている)
- 金属のボタンやファスナーがあるものは、長くつけない
- 色が出ないか、目立たないところで 先に試す
家で使う濃さのクエン酸につけたウールが、どれだけ強さを保つか。
それを測った資料は、探したが見つからなかった。
「かびから作る」と聞いて
くわしくは →
2018年に、「作られたクエン酸が、からだの中で炎症を起こしているかもしれない」という報告が出ている。※1
読んでみると、こうだった。
- 書いたのは、アメリカの大学の 外科の2人
- 4人の患者さんの話
- 目かくしをして確かめる試験は、していない
- 書いた本人たちが「4例の証拠の弱さは分かっている。原因だと言い切ることはできない」と書いている
気づきの報告、という段階だ。確かめられたことではない。
一方で、ふつうの袋には、何から、どこで作ったかが 書かれていないことが多い。
私は、そこが分かるものを選ぶようにしている。
昔から、あったもの
レモンの汁。梅。酢。
酸っぱいものは、昔から台所にあった。
クエン酸の粉は、その酸っぱさを、粉にして使いやすくしたものだ。
選ぶときに、見るところ
- 食べものに使えるものか(袋に「食品添加物」とある)
- 何から作ったか(でんぷん、糖)
- どこで作ったか
まだ、確かめられていないこと
- クエン酸で、縮んだウールが どこまで戻るか
- 家で使う濃さのクエン酸が、ウールの強さに どう関わるか
分かったら、ここに足していく。
出どころ(7)
- ※1 Sweis & Cressey(2018)Toxicology Reports 5:808-812。4人の症例の報告。クエン酸の作り方(コウジカビの仲間 Aspergillus niger の発酵が 世界の約99%・1919年から)は、この論文が引いている Max ら(2010)による。論文を見る
- ※2 暮らしの記事(マイナビニュース、macaroni、トクバイニュース ほか)。量は、それぞれの記事に共通して出てくる目安。公的な出どころではない。
- ※3 PubChem(ヨーロッパ化学品庁への届け出の集計)。会社が自分で届け出た分け方の集計で、国が決めたものではない。見る
- ※4 JECFA(FAO と WHO の合同の専門家会議)第17回・1973年。「ADI: NOT LIMITED」。見る
- ※5 EFSA(ヨーロッパ食品安全機関)2020年。酢酸・乳酸・クエン酸・酒石酸などの見直し(EFSA Journal 18(3):e06032)。
- ※6 国民生活センター「住宅用塩素系洗浄剤の使い方 ── まぜるな危険!」2026年3月18日。見る
- ※7 繊維の解説に共通して書かれていること(Wikipedia 英語版「Wool」ほか)。繊維の教科書までは、まだ開いていない。