TANE JOURNEY
どこまで、自分で作れるか。
買うものと、作れるもの。その境目を、一度 見てみる
01
買うものだと、決まっていた
台所にあるもの、洗面所にあるもの、着ているもの。
そのほとんどは、買うものだと決まっているように見える。
でも、決めたのは自分ではない。
味噌も、醤油も、酢も、石鹸も、もとは家で作られていた。
いつからか、作る人と使う人が分かれただけで、
作り方が消えたわけではない。
この冊子は、その境目の地図だ。
どこまでが買うもので、どこからが作れるものか。
並べてみると、思っていたより線は向こう側にある。
全部やる必要はない。
私も毎日ぜんぶを作っているわけではない。
作れないものはあるし、作らない日もある。
作らないという選び方もある。
一つでいい。
一つ作れると分かると、そのとなりも見えてくる。
02
台所から
いちばん道具が少なくて始められるところ。
調味料
糀/塩糀/醤油糀/甘糀/コンソメ糀/発酵ケチャップ
甘酒/味噌/醤油/酢/柿酢
ケチャップ/オイスターソース/ラー油/ドレッシング
マヨネーズ/ブイヨン/塩レモン
糀は一語で片づけると範囲が見えない。
糀から先が長い。塩糀も醤油糀も、そのあとに続くもの。
発酵させる
味噌/甘酒/ぬか床/漬物/サワードウ
ザワークラウト/ヨーグルト/納豆/キムチ/コチュジャン
台所に、生きたものがいる状態になる。
酵母を育てて、継ぐ
天然酵母を起こす/酵母を継ぐ
サワードウのスターターを育てる
発酵を見ながら焼く
「パンを作る」より、酵母を育てて継いでいくほうが、していることに近い。
焼くのは最後の一手間でしかない。
季節を保存する
梅干し(梅仕事)/干すもの・乾物/保存食
ガリ/きゅうりの酢漬け
季節の果物のジャム/シロップ/果実酢
野菜の塩漬け/発酵漬物
季節のものを、季節ではない日に食べるための手。
飲みもの
お茶のブレンド/ハーブティのブレンド/コーヒー
料理を組み立てる
季節の調理法/夏の火の入れ方
身土不二 ── 土地と体
家にある材料から考える
発酵調味料を普段の料理に使う
甘味・塩味・酸味・旨味の釣り合い
素材を使い切る/残ったものを次へつなぐ
子どもも食べられる味に調整する/子どもの食・離乳食
暦にそって食べる
節句・行事の食(お屠蘇/七草/桃の節句/冬至のかぼちゃ)
季節の行事を食卓に置く
そのほか
ベーコン/お菓子/どんぐり完全食
※ 酒も作る。ただし日本では、アルコール分が一度以上あるものを、免許なく作ることはできない。
この冊子に作り方は書いていない。同じ手しごとでも、住んでいる場所で、できることが変わる。
(甘酒は一度未満なので、この決まりには当たらない)
03
肌にふれるもの
石鹸/シャンプー/リンス
基礎化粧品/クリーム/日焼け止め
蜜蝋とオイル
ファンデーション/口紅/頬紅
その人に合わせて作る
一人ひとりに合わせた化粧品
季節に合わせた処方(夏用・冬用)
オイル・ワックス・水分・粉体の配合を考える
使用感の調整
自分のために作るのと、人に作って渡すのは、別の話になる。
渡す側に回ると、住んでいる国の決まりが関わってくる。
肌を見る
肌の状態を見る/季節による変化/年齢による変化
生活背景を含めて考える
化粧品の成分を見る/化粧品を選ぶ軸をつくる
作ることと同じくらい、見ることをしている。
04
家のもの、着るもの
洗う
洗濯/洗剤を作る・選ぶ/汚れの種類を知る
洗いすぎない/必要なところだけ洗う/素材に合わせて洗う
家のもの
洗濯洗剤/歯磨き粉/マウスウォッシュ
掃除(重曹・クエン酸などのナチュラルクリーニング)
キャンドル/蜜蝋ラップ
台所を整える
調理道具を選ぶ/素材による道具の違いを知る
保存容器を選ぶ(甕/木桶/保存瓶)
道具の手入れ/食品を無駄にしない保存
昔の台所仕事を、今の暮らしに入れる
直す・長く使う
編み物/ミシン/縫い物
補修する/作り直す/使い切る
買い替える前に、自分の手でどうにかしてみる。
ここまで入れると、「衣」の枠より広くなる。
05
育てて、土に返す
種を採る(自家採種)
家庭菜園/野菜を育てる/ハーブを育てる
もやしを育てる/きのこを育てる
コンポスト
種を採るところまで入って、この輪が閉じる。
買った種で育てて、食べて終わりだと、輪は開いたままになる。
06
植物を、横断して使う
ハーブを浸出する/オイルに植物を浸出する
チンクチャー/ハーブティーを組み立てる/香りを使う
家庭でできる昔ながらの手当
一つの植物を、食べることも、飲むことも、肌に使うこともある。
食べもの・化粧品・手当てと分けているのは売り場のほうで、植物のほうは分かれていない。
※ フランス式のメディカルアロマ/メディカルハーブを学んでいる。
ただしこの冊子では、何に効くかは書いていない。
QUICK VIEW / 早見
選ぶときに、見るところ
作らないものは、選ぶことになる。
作れると知っている人の選び方は、少し変わる。
- 原材料表示・成分表示を読む名前を全部知らなくていい。並び順と、どこで切れているか
- 素材そのものを見る塩なら ── どこの海か。どう炊いたか。天日か、釜炊きか
- 道具と器を選ぶ何でできているか。手入れができるか
- 何を減らすか考える足すものより、減らすもののほうが効くことがある
- 「作らない」と決めたものを、どう選ぶか作らないと決めることも、選ぶことのうち
- 買うものを変えるのは、渡された中での移動でしかない。作れると知ると、選ぶ側から作る側へ移る。 商品の話ではなく、力の話になる。
作らない日のために
全部を自分で作るのは、大変だ。
昔からのやり方を続けている人がいる。
信念を持って、ひとつずつ、とても丁寧に作っている人がいる。
そういう人から買うことも、選ぶことのうち。
作る人が上で、買う人が下、という並べ方はしない。
作れない日に何を選ぶかは、作る日と同じくらい大事なことだ。
たどると、見え方が変わる
作れるかどうかとは別に、なぜそうなったのかをたどるという手がある。
食材の歴史/昔、何を食べていたか/発酵の仕組み
化粧品の成分/皮膚の仕組み/道具の素材
法律や表示の決まり/在来種
現代の科学と、昔の知恵を照らし合わせる
- 昔のものだから採るのではない。たどって、試して、自分にとって心地よいものを残す。
出どころ
この号の材料
この冊子に並んでいるものは、全部 実際にしていることです。
思いつきで足した項目はありません。
酒について ── 日本の酒税法では、アルコール分1度以上の飲料が「酒類」にあたり、
製造には免許が要ります(酒税法2条1項・7条、罰則54条/国税庁「自家醸造」)。
作っていることは書いていますが、作り方は渡していません。
甘酒はアルコール分1度未満なので、この決まりには当たりません。
日焼け止めについて ── アメリカでは一般用医薬品(OTC)として扱われます。
この冊子では名前を挙げているだけで、効果については書いていません。
メディカルアロマ/メディカルハーブについて ── 学んだことの名前として書いています。
何に効くか、という書き方はしていません。
四つに分けて置いています ── 科学で確かめられたこと/まだ研究の途中のこと/
昔から言われてきたこと/自分でやってみて感じたこと。
混ぜると、それぞれの知り方が消えてしまうからです。
おわりに
この冊子について
TANE JOURNEY がお渡ししている、無料の読みものです。
答えではなく、選ぶときの軸をお渡ししています。
ここに並べたものを、そのまま真似していただく必要はありません。
暮らしも、家族も、土地も、季節も、人によって違います。
自分に合う形に変えたものが、次の誰かへ渡っていきます。
一つ作れると分かったら、そこから始めてみてください。