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CLOTHING

PFAS は、服にも使われている?

たたんだ青緑のフリースの上着

雨をはじく。汚れがつかない。においが出ない。
その「機能」は、何でできているのか。

撥水、防汚、抗菌防臭。札に書いてある機能の言葉は、何かを繊維に残して作られている。
その一つが PFAS(ピーファス)と呼ばれる、フッ素の化合物の一群。

このページは、PFAS が服のどこにあるか、肌から入るのか、法律はどうなっているか、そして抗菌の加工について、分かっていることと分かっていないことを分けて並べたもの。

PFAS とは何か

環境省の説明では、「主に炭素とフッ素からなる化学物質」で、「1万種類以上の物質があるとされています」。
「撥水・撥油性、熱・化学的安定性」があり、「繊維・革・紙・プラスチック等の表面処理剤」などに使われてきた。※4

水も油もはじき、熱にも薬にも強い。だから雨具や防汚の加工に向く。
そして、同じ性質のせいで、環境の中でも体の中でも、なかなか分解されない。

健康への影響は、国の説明でもこう書かれている。評価の対象は「肝臓への影響、出生時体重の減少、コレステロール値の上昇、発がん、免疫系への影響等」。ただし「国際的に整合性のとれた評価が確立されていません」。
日本の食品安全委員会は、動物試験での出生児への影響は「証拠の確かさが強い」とし、ほかは「不十分」か「限定的」と判断した。※4

服のどこにあるか ── 子どもの服72点を測った研究

2022年・アメリカとカナダ

対象:「防水」「防汚」「防風」「防しわ」と書かれた子どもの服と布もの72点(アメリカ34、カナダ38)。制服25、雨具や雪遊びの服16、よだれかけ・帽子・水着など16。※1

結果:調べた PFAS は、両国のすべての製品から検出された。中央値は 117 ng/g。制服が 728 ng/g と高く、雨具(111)と同じくらい、小物(35.5)より高かった。※1

綿100%のほうが多かった:綿100%の制服は中央値 19,100 ng/g。綿とポリエステルの混紡は 1.7 ng/g。綿は水になじむ繊維なので、はじくためにより多くの PFAS が要るのではないか、と著者は読む。ただし数は少ない。※1

限界:防汚などの表示がある製品を選んで買っている。服ぜんぶの平均ではない。
誰が金を出したか:カナダ環境・気候変動省の五大湖の事業。研究者は大学と NGO。

「綿100%」でも、PFAS は使われる。
繊維ではなく、仕上げの話だから。

肌から入るのか

ここは、二つの実験がある。どちらも服を着たときの数字ではない。

研究何をして、何が分かり、何が言えないか
皮膚のモデル2024年・英国。人の皮膚を模した3次元の組織に、17種類の PFAS をメタノールに溶かしてのせ、24〜36時間。炭素の鎖が短い PFAS ほどよく通り(PFPeA 58.9%、PFBS 48.7%)、長いものは通らずに皮膚の組織の中に残った(PFUnDA は 66.5% が組織内)※2
言えないこと:溶媒に溶かした実験。服から汗を介して入る割合ではない
汗のモデル2025年・中国。家の布ものと子どもの服で、PFAS 28種類と有機リン酸エステル9種類を測った。PFAS は 87.9% から検出。撥水加工の服は、ふつうの機能の服の約3倍。洗濯で有機リン酸エステルは減ったが、PFOA はかえって検出が増えた。計算のモデルでは、汗があると乾いたときより吸収が最大3,252倍※3
言えないこと:「倍」は計算モデルの比。実際に人で測った量ではない

分かっているのは、「服の中にある」と「皮膚を通りうる」と「汗で増えうる」まで。
「服を着てどれだけ体に入ったか」を人で測った研究は、見つからなかった。

法律は、どう動いているか

どこ何が決まっているか
日本PFOS は2010年、PFOA は2021年に「第一種特定化学物質」。製造・輸入が原則禁止になった。長い鎖の PFCA も、2026年11月から同じ扱いになる予定※4
服そのものの PFAS 全体を縛る決まりは、まだ無い
カリフォルニア2025年1月1日から、「規制対象の PFAS」を含む服・寝具・タオルなどの繊維製品を作る・売ることを禁止。わざと加えた PFAS、または有機フッ素の合計が 100ppm 以上(2027年からは 50ppm)。激しい雨のための屋外着は2028年1月1日まで猶予、ただし「PFAS を使っています」の表示が要る。カーペット、防護服、古着は対象外※5
EU2026年10月10日から、一般向けの服・靴に PFHxA という種類の PFAS の制限(25ppb、関連物質 1,000ppb)。ほかの繊維製品は2027年10月から。さらに PFAS 全体を一群として縛る案を、デンマーク・ドイツ・オランダ・ノルウェー・スウェーデンが2023年に出し、2027〜28年の決定が見込まれている※6

アメリカの一つの州と EU が、服の PFAS を禁じる方向で動いている。日本は、物質ごとの禁止はあるが、服としての決まりはこれから。

抗菌防臭の加工は?

「抗菌防臭」「制菌」は、銀や、第四級アンモニウム化合物などを繊維に残して、菌の増殖を抑える加工。→ 服の加工のこと(残すのが目的の加工)

日本の「SEKマーク」

繊維評価技術協議会(繊技協)が、機能と安全性の基準を満たした加工に出す印。S=清潔、E=衛生、K=快適。
抗菌防臭加工、制菌加工(一般用途・特定用途)、抗ウイルス加工などの種類がある。※7※8

2020年から21年にかけて申請が急に増え、ふだん年20〜30件のところ約100件。マスクの不織布、カーテン、寝具、パジャマなど。※7

この印は「効き目と安全性を基準で確かめた」印。その加工が、日常着に要るかどうかは、印は言っていない。

抗菌の薬剤は、洗濯で一部が水に出ていく、という研究がある(まだ確かめられていないこと、に置いた)。
菌を抑える仕組みは、洗濯の水と、その先の川にも同じように働く。

見極めポイント

見るところ何が分かるか
札の機能の言葉「撥水」「防汚」「はっ水」「DWR」「抗菌防臭」「制菌」「防しわ」。機能があるということは、何かが繊維に残っているということ
フッ素フリー「PFCフリー」「フッ素フリー」の表示は、フッ素を使わない撥水に替えた印。書いてあれば、作り手がそこを選んでいる
要る機能かその服に、その機能が要るか。雨具・登山の服の撥水は、機能が本物。日常着・子どもの制服・寝具に防汚や撥水が要るかは、一度考える
洗えば落ちる?落ちない。PFAS は残すために付けてある。洗って落ちるのはホルムアルデヒドなどのほう。→ 新しい服は、なぜ一度洗うとよい?
綿100%でも安心ではない。仕上げは繊維と別。綿の制服のほうが多かった研究がある※1

TANEの読み

雨をはじく服は、ありがたい。山で、雨の日の通学で。その機能を悪く言うつもりはない。

見ているのは、要らない所に付いている機能。
毎日肌に触れる下着やパジャマや寝具に、防汚や撥水が要るか。子どもの制服に、要るか。
要らない所の機能を一つ外すだけで、肌に触れるものが一つ減る。買い替えなくても、次に選ぶときに見るだけでいい。

やってみる

手持ちの服と寝具で、「撥水」「防汚」「抗菌防臭」の札を数える。
そのうち、その機能が本当に要るものはいくつか。

次に買うとき、要らない機能の付いていないものを選ぶ。それだけ。

機能は、タダでは付かない。
何かが残って、はじめて機能になる。

次の問い

では、服に入っている、ほかのものは?
→ BPA は、服にも入っている?

→ 衣服を知る(衣の章のはじめへ。素材 → 加工 → 肌 → 水と土 → 選ぶ・洗う)

まだ、確かめられていないこと(5)
  • 服を着て、PFAS がどれだけ体に入るか。人で測った研究が見つからない(皮膚モデルと汗のモデルまで)
  • 日本で売られている服の PFAS の実測。見つかった研究はアメリカ・カナダ・中国
  • 抗菌の薬剤(第四級アンモニウム化合物)が洗濯でどれだけ出るか。2026年の研究に「50%を超える移行」とあるが、ページが開けなかった(MDPI)
  • カリフォルニアの法律の条文そのもの。認証機関のまとめから書いた。表示の文言が「chemical」か「chemicals」かも資料で違う
  • 抗菌防臭の加工が、日常着のにおいにどれだけ効くか。測った資料を見ていない

分かったら、ここに足していく。

出どころ(8)
  1. ※1 Xia C, Diamond ML, Peaslee GF ほか(責任著者 Venier M)「Per- and Polyfluoroalkyl Substances in North American School Uniforms」Environmental Science & Technology 56(19) 2022(72点・全製品から検出・制服 728 ng/g・綿100% 19,100 ng/g。資金:カナダ環境・気候変動省) 見る(2026-10-30 確認)
  2. ※2 Ragnarsdóttir O, Abou-Elwafa Abdallah M, Harrad S「Dermal bioavailability of perfluoroalkyl substances using in vitro 3D human skin equivalent models」Environment International 188, 2024(17種・メタノール溶液・短い鎖ほど通る) 見る(2026-10-30 確認・抄録)
  3. ※3 Li K ほか「Sweat-amplified dermal transfer and combined toxicity of PFAS and organophosphate esters mixtures in children's textiles」Science of the Total Environment 1000, 2025(87.9% 検出・撥水の服は約3倍・汗で最大3,252倍のモデル) 見る(2026-10-30 確認・抄録)
  4. ※4 環境省「PFAS に関する Q&A」(1万種類以上・用途・PFOS 2010年・PFOA 2021年・LC-PFCA 2026年11月・健康影響の評価の状態) 見る(2026-10-30 確認)
  5. ※5 Bureau Veritas「California Signs PFAS Textile Articles Bill AB 1817」2022年10月(2025年1月1日・100ppm/50ppm・屋外着は2028年まで・対象と除外) 見る(2026-10-30 確認・条文は未確認)
  6. ※6 Beveridge & Diamond「New EU PFHxA Limits Take Effect Amid Expanding PFAS Rules for Apparel and Textiles」2026-10-07(2026年10月10日・25ppb/1,000ppb・5か国の提案 2023年・決定は2027〜28年の見込み) 見る(2026-10-30 確認)
  7. ※7 FASHIONSNAP「衛生機能の SEK マーク申請が急増」2021-07-22(S清潔・E衛生・K快適/抗菌防臭・制菌・抗ウイルス/申請約100件) 見る(2026-10-30 確認)
  8. ※8 繊維評価技術協議会「SEKマーク」 見る(2026-10-30 確認)