CLOTHING
衣服を知る
一枚の服には、見えない物語がある。

毎日、肌に触れているもの。何から生まれ、どう作られ、どこへ還っていくのか。
この章は、上から順に読むと一枚の服の一生になるように並べてある。
素材 → 加工 → 肌 → 水と土 → 選ぶ・洗う。気になる段だけ開いてもいい。
1まず、何からできているか
服の札の繊維の名前は、三つに分けると読めるようになる。植物か、動物か、石油と木か。

PLANT
植物の繊維
綿、リネン、ラミー。畑で育つ。水をよく含み、汗を吸って放す

ANIMAL
動物の繊維
ウール、絹、カシミヤ。羊の毛のうろこや、一本1,300mの蚕の糸が、性質を決める

OIL & WOOD
石油と木の繊維
ポリエステルやナイロンは石油から。レーヨンは木を溶かして作り直す。「竹の服」もここ
→ 三つの分け方の全部と、「化学繊維はいつから肌に触れているか」は その服は、何からできている?
| 年 | 何が |
|---|---|
| 1884年 | 木を溶かして作る糸(レーヨン)が生まれる※1 |
| 1940年 | 石油から作ったナイロンのストッキングが、アメリカで売り出される※2 |
| 1950年代 | ポリエステルの工業生産が始まる。日本では1958年※1 |
| 2024年 | 世界の繊維の59%がポリエステル。綿は19%※3 |
何千年の綿・麻・毛の時間の中で、石油の繊維が肌に触れているのは、まだ90年足らず。
2素材の名前だけでは、分からないこと
「綿100%」「ウール100%」は原料の札。そのあとで、煮られ、白くされ、染められ、柔らかくされ、縮まないようにされる。

コットン100%なら、加工も天然?
札に書いていない七つの工程。残るものと、洗えば落ちるもの

ウールが縮まないのには、理由がある
同じ「ウール100%」なのに、縮むセーターと縮まないセーター。うろこを削る加工

その色は、何で染めた?
藍は葉を3か月発酵。紫は1856年の失敗から。「草木染め」にも媒染の金属がある

新しい服は、なぜ一度洗うとよい?
形態安定のワイシャツ7枚。2回洗ったら検出されなくなったもの
3肌に触れたあと
服と体の話は、分けて考える。服に入っている → 汗で移る → 皮膚から入る → 体に作用する。どこまで確かめられているかは、物質ごとに違う。

綿100%なのに、かゆいのはなぜ?
皮膚科の調べで原因の上位は、繊維ではなく染料・樹脂・ゴム。いちばん確かめられている話

プラスチックの原料が、靴下に?
BPA。三つの調べと、汗で濡れた服の計算、一度洗うと減ること

雨をはじく服の「はじく」は、何でできている?
PFAS。子どもの服72点の調べ、皮膚と汗のモデル、動き出した法律

リネンは5000?「衣服の周波数」という話
数字をたどって、測れる数(水分率)と並べた
4服の前と、服のあと ── 水と土と、生きもの
服になる前に使った水と時間。洗ったあとに流れていくもの。値札の外に出ているもの。

「天然だからやさしい」は、どこまで本当?
綿花の水、農薬の数字の言い分、羊のミュールシング、着物一枚に繭2,600粒

洗濯した繊維は、どこへ行く?
処理場で98%は泥に。その泥は畑へ行くことがある。綿も出るが、水でほどける

服1枚の値段は、なぜ半分になった?
1990年 6,192円 → 2024年 3,211円。値札に書いていないものと、「何回着るか」
5次の一枚を、自分で選ぶ。いまの一枚を、長く着る
買うときに見るもの。買ったあとの洗い方。どちらも、知っていれば今日から変えられる。

札の印、GOTSとOEKO-TEXは何が違う?
作る途中を見る印、できた服を測る印、羊を見る印

柔軟剤を2倍入れると、何が起きる?
洗剤の量、川の決まり、3か月長く着ると5〜10%。服の寿命は洗い方で決まる
今日からできる、五つ
① 札を裏返す。繊維の名前と、加工の言葉(ウォッシャブル・形態安定・ノーアイロン・抗菌防臭)を読む。
② 新しい服は、一度洗ってから着る。
③ 加工していないウールは、ぬるま湯で、もまずに、平らに干す。
④ 洗剤と柔軟剤は、箱に書いてある目安の量。
⑤ 買い替えを最初の答えにしない。今ある服を、洗って、直して、着る。
怖がるためではなく、
知って、選ぶために。
出どころ(3)
- ※1 日本化学繊維協会「化学繊維の歴史」(1884 シャルドンネ/1953 デュポン ポリエステル工業生産/1958 テトロン) 見る(2026-10-30 確認)
- ※2 Harry Sherrin「Nylon Stockings: The Innovation Behind a Textiles Revolution」History Hit, 2022(1940年5月15日 全米発売) 見る(2026-10-30 確認)
- ※3 Textile Exchange「Materials Market Report 2025」(2024年 ポリエステル59%・綿19%)── EU Transition Pathway for Textiles のまとめから 見る(2026-10-30 確認)