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CLOTHING

1,000円のTシャツ、値札の向こう

白いリネンのシャツの札。Made in Bangladesh と書いてある

日本で売られる服1枚の平均の値段は、1990年に 6,192円。2024年は 3,211円。
半分になった。その間に、何が変わったのか。

安い服は、ありがたい。子どもはすぐ大きくなるし、仕事着は汚れる。家計にとって、値段が下がったことは助かることだった。
このページは、その安さを責める話ではない。値札に書いてあることと、書いていないことを、数字で並べてみる話。

数字で見る、日本の服

環境省が2020年度から続けている調べから。※1※2

何数字
1枚の値段1990年 6,192円 → 2024年 3,211円
国内に出回る枚数1990年 約20億着 → 2024年 約35億着(1.8倍)
輸入の割合売られている服の 約98% が海外から
1人が1年に買う 約19枚/手放す 約11枚/1年に一度も着ていない服 約24枚
1着を作るのにCO2 およそ 25.5kg/水 およそ 2,300L(原料から店に届くまで)
手放したあとリサイクル 7%・リユース(輸出を含む)35%。残りの 58% は燃やすか埋める。年 約46万トン=1日 約1,300トン=大型トラック約130台

値段は半分、枚数は倍。
1人が1年に買う枚数と、着ていない枚数が、ほとんど同じ。

推計年も方法もちがう調べを並べた表。1枚の値段は名目(そのときの円)で、同じ品の値下がりではない。「2,300L」は原料の綿花の畑の水まで数えた値。桁として読む。

値札に書いてあること、書いていないこと

何
書いてある値段。素材の割合。作った国。洗い方の記号。サイズ
書いていない綿花を育てた畑の水と農薬。繊維に残した加工の薬。染料。縫った人の賃金と、その人が働いた建物。運んだ距離。売れ残った枚数。捨てられたあとの行き先

書いていないものは、無いのではない。値段の外に出ている。誰かの水、誰かの時間、どこかの土が、値札の代わりに払っている。

→ 畑の水と農薬、羊と蚕のことは 綿と羊と蚕 ── 服の前に、何がいるか
→ 加工と染料のことは 服の加工のこと
→ 捨てたあと、洗ったあとのことは 洗濯した繊維は、どこへ行く?

縫った人のこと

2013年4月24日、バングラデシュ

首都ダッカ近くの、縫製工場の入った8階建てのビル「ラナ・プラザ」が崩れた。
国際労働機関(ILO)は100日後の記事で、1,127人が亡くなり、さらに多くの人が傷ついたと書いている(のちの集計では 1,134人とされることが多い)。※3

そのあと、世界の80を超えるブランドと労働組合が「火災と建物の安全の協定」に署名し、ILO が中立の議長になった。工場の建物と火災の安全を点検して直す、5年の取り組み。※3

この出来事は、日本の服の 98% が海外で縫われていることと、無関係ではない。
でも、安い服を買った人のせいではない。値段の中に、建物を直す分が入っていなかった。それだけのこと。

記録亡くなった人の数は、資料によってわずかにちがう。ILO の記事の数字をそのまま置いた。

安いことの、よいところ

ここを飛ばすと、話が片方に倒れる。

安い服のおかげで、子どもの成長に追いつける。汚れる仕事に着ていける。試しに一枚、ちがう色を着てみられる。
そして、高い服が正しいとも限らない。値段が高くても、どこでどう作られたかが分からない服はいくらでもある。

だから TANE は、値段で服を判定しない。見るのは別の軸。

別の軸 ── 何回着るか

イギリスの資源の団体 WRAP が2012年にまとめた調べでは、服1枚を3か月長く着るだけで、CO2・水・ごみの三つの足あとが、それぞれ 5〜10% 減ると見積もられた。
同じ調べで、イギリスの家のたんすの服の約30%は、1年以上着られていなかった。※4

日本の「着ていない服 約24枚」と、同じ景色。※1

値段を、着る回数で割ってみる

3,000円の服を 10回着たら、1回 300円。
3,000円の服を 100回着たら、1回 30円。
1,000円の服を 3回着たら、1回 333円。

値札の数字より、割ったあとの数字のほうが、その服の本当の値段に近い。

安いか高いかではなく、
何回着るか。

TANEの読み

服を減らせ、とは言わない。
言いたいのは、値札の外に出ているものを、知ったうえで選ぶこと。知っていれば、安い服を買う日も、買わない日も、自分で決めたことになる。

そして、いちばん安い服は、もう持っている服。
直せるものは直す。合わなくなったものは、着る人に渡す。

やってみる

1年着ていない服を、ぜんぶ出して並べる。数える。
その中から一枚だけ、今週 着る。一枚だけ、誰かに渡す。

次に服を買うとき、値札の横に心の中で「何回着る?」と書く。
答えが 10回より少なければ、一晩おく。

いちばん安い服は、もう持っている服。

次の問い

では、値札の外で、誰の水と時間を使っている?
→ 綿と羊と蚕 ── 服の前に、何がいるか

→ 衣服を知る(衣の章のはじめへ。素材 → 加工 → 肌 → 水と土 → 選ぶ・洗う)

まだ、確かめられていないこと(5)
  • 「1枚の値段」の推計の方法(何を1枚と数えたか。名目の円で、品目の中身の変化を直していないと読める)
  • 服の値段のうち、縫った人の賃金が何%か。よく引かれる数字があるが、出どころを開けていない
  • 日本の服の輸入先の国別の割合
  • リユース・リサイクルの割合が、環境省のトップページでは約38%、詳しい説明では42%。調べた年がちがうと見ているが、確かめていない
  • 売れ残った新品が、国内でどれだけ捨てられているか

分かったら、ここに足していく。

出どころ(4)
  1. ※1 環境省「サステナブルファッション」サステナブルファッションとは(1枚の価格 1990年 6,192円・2024年 3,211円/1人 買う約19枚・手放す約11枚・着ていない約24枚(令和7年度調査)/1着 CO2 約25.5kg・水 2,300L(令和2年度調査)/焼却・埋立 約46万t・58%・1,300t/日(令和7年度マテリアルフロー)) 見る(2026-10-30 確認)
  2. ※2 環境省「サステナブルファッション」トップ(国内供給 2024年 約35億着・1990年 約20億着/輸入 約98%/手放す 年約11着/着ていない 約24枚) 見る(2026-10-30 確認)
  3. ※3 ILO(国際労働機関)「Rana Plaza building collapse… 100 days on」2013-08-05(4月24日・1,127人・協定の中立の議長・80超のブランド) 見る(2026-10-30 確認)
  4. ※4 WRAP「Valuing Our Clothes: the true cost of how we design, use and dispose of clothing in the UK」2012-07-11(3か月長く着ると CO2・水・ごみの足あとが各 5〜10% 減・たんすの約30%は1年以上着ていない・年 35万t が埋立へ。WRAP はイギリスの登録慈善団体) 見る(2026-10-30 確認)